今日は19世紀初頭の英語の歴史と、アメリカ英語の始まりについて見ていきましょう。
American English
17世紀の初め、イングランドの人々がアメリカに移住し始めました。彼らはイングランドから遠く離れた所に住むこととなりましたが、英語のスタイルにそれほど違いはありませんでした。異なるアクセントや方言は発展していきましたが、話し方に関してはイングランドで使われていた英語と変わりはありませんでした。しかし1776年の独立戦争時、アメリカはイングランドから独立します。
では、アメリカ英語は1776年から話されるようになったのでしょうか?
実際にはこの数年後から始まり、ある辞書がアメリカ英語が始まる要因となり、影響を与えることとなるのです。
辞書
16世紀と17世紀にイングランドで書かれた辞書が多く、最初に影響力を与えた辞書は1755年に出版されました。これは「A Dictionary of the English Language」と呼ばれ、サミュエル・ジョンソンという人物によって書かれたものでした。彼より前に出版されていた辞書もいくつかありましたが、彼が大きな成功を成し遂げたために、サミュエル・ジョンソンは世界初の英語辞典を書いた人物であると未だに誤解され続けているのです。この辞書はこれからの150年間も一般的な辞書として残され続けるでしょう。

Samuel Johnson
また一方のアメリカでは、ノア・ウェブスターという男性が1806年にアメリカで初の英語辞典を出版しており、彼は「Merriam-Webster dictionary」の要因となった人物です。

Noah Webster
米英戦争
1812年にアメリカがカナダを侵略した時、アメリカ人は再びイギリス人と争いました。これは多くのアメリカ人が、さらに強い反英国の気持ちを持つことに繋がっていました。政府を含む多くのアメリカ人は、イギリス人とは違う個性が欲しいと感じていたのです。これは英語での話し方も含め、多くの点でイギリス人と自分自身(アメリカ人)を区別したいという感情を強めていったのです。
アメリカ英語
また、ノア・ウェブスターはアメリカには独自の英語が必要だと考えていました。彼は1807年に「An American Dictionary of the English Language」と呼ばれる新しい辞書の作成に取り掛かりました。彼は多くの単語の綴りを変更したいと考え、そのスペルを発音に近づけるよう変えたのです。
<例>
青:イギリス英語 赤:アメリカ英語
Colour – Color
Centre – Center
Favour – Favor
Organise – Organize
さらには他の言葉を変えることも考えていました。
<例>
Tongue – Tung
Egg– Eg
しかしこれらが変えられることはなく、ウェブスターは1828年、ついに自身の新しい辞書を出版することとなります。
アメリカには独自の英語辞典があり、人々はここに書かれているものを標準的な単語の綴りとして使うようになっていきます。間もなくして、多様な方法でアメリカ英語はイギリス英語から大きく変化していきました。
次は、19世紀後半に英語がどのように発展したのかについて見ていきたいと思います。