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コックニー


“Cockney(コックニー)”は、イギリスで最もよく知られているアクセントの1つだと言われており、クイーンズ・イングリッシュRPのアクセントより有名だと言う人もいます。この記事ではコックニーの歴史や、複雑な単語についても説明したいと思います。

Cockney(コックニー)とは?

「コックニー」という言葉には3つの意味があります。まずは、ロンドン出身のイギリス人(通常は労働者階級の人)、特にイースト・エンド・オブ・ロンドン出身の人を意味します。ですがコックニーは「Cockney English」と呼ばれることもあり、これは方言とアクセントのことを意味します。

コックニーは単なるアクセントではなく、方言でもあるということは覚えておいてください。実際に、コックニーの方言はイギリスで最もややこしい方言の一つなのです。コックニーだけが使う言葉や表現が非常にたくさん存在しますが、その言葉の多くは他のイギリス人でも理解することができません。個人的には、ネイティブのイギリス人が学ぶのに最も難しい方言だと思います。

原点

コックニーの方言は何百年も前に始まり、約500年の間ロンドンで話されていると言われています。もともと‟コックニー”という言葉はロンドンのチープサイドという地域に住む人達のことで、教会の鐘の音が聞こえる距離に住んでいる人々のことを指していました。教会は1666年に起こったロンドンの大火災で崩壊してしまいましたが、数年後には別の教会が建てられました。この新しい教会は‟St. Mary-le-Bow”と名付けられ、教会の鐘は‟Bow Bells”として知られるようになります。ですから、この鐘の音が聞こえる範囲内のロンドン出身の人は皆、コックニーと呼ばれているのです。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/ae/Great_fire_of_london_map.png

ピンク色の地域はロンドンの大火災があった場所です

最終的にこの呼び名は、イースト・エンド・オブ・ロンドンに住むすべてのロンドン市民を含むよう拡大され、19世紀にはイースト・エンド・オブ・ロンドンに住む労働者階級のアクセントはコックニーと呼ばれていました。

この時地元の多くの人が市場で働いており、彼らだけが理解できる唯一の表現と言葉を使い始めたと言われています。そうすることによって、他の売り手と話す際に彼らが何を言っているのか地元人ではない人は理解できません。いくつかの犯罪集団がこのような手口で警察を混乱させ、暗号を使って互いに通信していたとも考えられています。19世紀末には、コックニーの方言で多くの独特な言葉と表現が作られました。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c0/The_Church_of_St._Mary-le-Bow%2C_Cheapside%2C_EC2_-_geograph.org.uk_-_1137446.jpg

教会:St. Mary-le-Bow

押韻俗語

コックニーは非常に理解が難しいです。いくつかの英単語は別の意味を持つ他の単語に置き換えられ、韻を踏みます。例えば英語で‟電話”は‟Phone”、「電話で話していた」と言う場合ほとんどのイギリス人は次のように言います。

“I was talking on the phone.”
私は電話で話していました。

しかしコックニーの方言で‟phone”は‟dog and bone”という表現に置き換えられます。「Bone」は「Phone」と韻を踏み、普通なら「Dog and bone」は犬と骨を意味します。しかしコックニーを話す人々は、この文脈を文字通り直訳しないということを理解しているので、この表現が‟電話”を意味することを分かっているのです。

なのでコックニーを話す人は、時々次のように言うでしょう。

“I was talking on the dog and bone.”

このような英語の使い方はよく「Cockney Rhyming Slang(コックニー・ライミング・スラング)」と呼ばれ、コックニーの押韻俗語を意味します。時々Cockney English(コックニーイングリッシュ)やCockney (コックニー)と呼ばれることもあるようです。

しかしそんなに単純なものではありません。コックニーを話す際、人々は韻を踏む言葉を省略するため1つの単語だけが使われています。

Phone > Dog and bone > Dog

なので、先程挙げた例文は次のように言われるでしょう。

“I was talking on the dog.”

この文章は他の英語話者にとっては無意味な文に聞こえますが、コックニーはこの意味が理解できるでしょう。では、コックニーの複雑さをさらに実証するために長い文章を使って見てみましょう。

“I was talking on the phone to my wife.”
妻と電話で話していました。

「Wife」は「Trouble and strife」という表現に置き換えられ、日本語で「問題と争い」を意味します。これはユーモアのある表現です。

実際にコックニーは次のように言うでしょう。

“I was talking on the dog and bone to the trouble and strife.”

“I was talking on the dog to the trouble.” (こちらの方がよく使われます)

ご覧のように、コックニーで話される文章は標準的な英語とはまったく異なります。他のイギリス人にとってこれは理解するのが非常に難しく、何か秘密の暗号のように感じるのです。他のイギリス人はコックニーを十分理解する前に表現を学ぶ時間が必要ですが、もし身に付けることができたらきっと楽しくなるでしょう。しかし、イギリス以外の英語圏の国の人々でさえも理解できないと感じています。

イギリスでよく知られているコックニーの言葉

コックニーの方言は非常に周知されており、独特な言葉や表現の多くはロンドン以外の他のイギリス人にも知られています。では最も一般的に使われ、理解されているコックニーの押韻俗語を挙げてみましょう。

コックニー英語 コックニーの口語形 標準英語 日本語
‘Butcher’s Hook’ ‘Butcher’s’ ‘Look’ 見る
‘Dickie Bird’ ‘Dickie’ ‘Word’ 言葉
‘Lady Godiva’ ‘Godiva’ ‘Fiver’ 5ポンド紙幣
‘Trouble and Strife’ ‘Trouble’ ‘Wife’
‘Pork Pies’ ‘Porkies’ ‘Lies’

 

実際にこのウェブサイトの「イギリス英語の言葉と表現」で紹介した言葉のいくつかは、コックニーが由来となっています。

私の経験上、コックニー以外のイギリス人に限り、それほど苦労せずに上記の表現を理解します。しかし他国の英語話者は最初から勉強しない限り、理解することはできません。唯一例外なのは、オーストラリア人とニュージーランド人です。この2つの国のごく僅かな人々は、表現の一部を自然と推測することができるようです。それは彼らが今でも、日常生活の中でいくつかのイギリスの表現を使用し、英語で話す際にはイギリス人と似た様な感覚を持っているからです。

さらに複雑な言葉

しかし、コックニーだけが理解できる別の言葉があります。他のイギリス人は元の表現を知らないので、その意味を理解することができません。

では5つの例を見てみましょう。

コックニー英語 標準英語 日本語
‘Barnaby Rudge’ ‘Judge’ 裁判官
‘Boat Race’ ‘Face’
‘Frog and Toad’ ‘Road’
‘Mince Pies’ ‘Eyes’
‘Sherbert (Dip Dab)’ ‘Cab’ (Taxi) タクシー

 

色々な意味で言うと、コックニーは英語とはまったく異なる言語のようなものなのです。

コックニーの認知

ほとんどのイギリス人はコックニーの方言やアクセントを好みます。なぜならコックニーには豊かな特性があり、労働者階級と関連があるからです。しかしロンドンの上流階級社会やイギリスの他の地域では、コックニーは見下されています。また別の労働者階級のイギリス人にとっては、本物の現地の人々に会っている気持ちになれるため、ロンドンでコックニーを聞くととても嬉しく感じるようです。

多くのアメリカ人もコックニーのアクセントについてよく知っています。これは、1960年代に作られたディズニー映画「メリー・ポピンズ」の影響を受けたようです。映画の主人公の1人でもあるアメリカ人俳優「ディック・ヴァン・ダイク」が煙突掃除人のコックニーの役を演じました。それ以降、アメリカ人がイギリスのアクセントを真似ようとすると彼らは通常、上流階級のRPアクセントやヴァン・ダイクのコックニーアクセントを話そうとします。残念なことに映画でのディック・ヴァン・ダイクのコックニーアクセントがあまりに下手で、多くのイギリス人はこれは酷い演技だと感じていました。なので、アメリカ人がコックニーアクセントを真似ようとするとどこか不自然で大げさになってしまうのです。なぜか多くのアメリカ人は、イギリスの労働者階級ほとんどの人がコックニーアクセントで話していると思っていますが、実際にはロンドンに住むコックニーだけが話し、彼らはイギリス人口のたった1%未満なのです。

俳優:ディック・ヴァン・ダイク

モックニー

20世紀終わり付近に多くの人、特にイギリスの中流階級の人々はコックニー文化をかっこいいと感じていました。彼らはコックニーの話し方を真似ようとしますがアクセントは本物ではなかったため、「Mockney Accent(モックニーアクセント)」という表現が作られました。‟Mockney”は「真似てばかにする」という意味をもつ‟Mock”と‟Cockney”が組み合わさってできた言葉です。

実際のところ本来のコックニーではなく、よくモックニーと呼ばれる多くの言葉が存在しています。コックニーの押韻俗語を挙げているウェブサイトがありますが、ここではどれが伝統的なコックニー、現代のコックニー、またはモックニーであるかを人々が投票した結果を見ることができます。もし興味のある方はこちらからご覧ください。

コックニーの将来

残念なことにコックニーの文化と言語は廃れてきています。その主な理由としては、コックニー家族の人口は減少し、その多くがロンドンから別の場所へ移住していることが挙げられます。実際にコックニーアクセントがゆっくりとロンドンからさらに東の地域へ移動していることに、何人かの言語学者は気づいているようです。

今やロンドン各地で多くの若者が、‟Jafaican”とよばれるJamaicanとFakeという言葉が組み合わさってできた英語のアクセントを話しており、これはジャマイカ英語に由来するアクセントの一種と言われています。しかし実際には、カリブ海、インド、パキスタン、アフリカ大陸から来たコミュニティが話す英語の組み合わせで、これらのコミュニティはここ数十年の間でイギリスに移住してきたため、彼らの英語のスタイルが併合して”Jafaican”アクセントを作り出したのでしょう。

最新の報告によると、コックニーは今後30年以内に絶滅することが予想されています。もう一つのロンドンでの調査によると、ロンドン市民のわずか5%だけが人気のある10個のコックニー表現に詳しく、18〜24歳の約38%はこの10個の表現のすべてを理解できないようです。しかし65歳以上の6%の人々だけはこのすべてを理解できないと答えています。これはコックニーがロンドンに住む高齢者のアクセントになりつつあることを強調しています。

コックニーは今でも映画やテレビでよく使われていますが、多くのロンドン市民や他のイギリス人がその残存を心配しているのです。

 

 

Image C redit: Great fire of london map by Bunchofgrapes at the english wikipedia [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)], from Wikimedia Commons

The Church of St. Mary-le-Bow, Cheapside, EC2 – geograph.org.uk – 1137446 by Mike Quinn / The Church of St. Mary-le-Bow, Cheapside, EC2

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