異なるのタイプの英語を比べる場合、最も一般的なのはイギリス英語とアメリカ英語ですが、イギリス英語とオーストラリア英語の違いに焦点を当てている人は少ないことに気付きました。そこで今回はそのトピックについて詳しく見ていこうと思います。
まず、人々がこのトピックについてあまり書いていないのは、オーストラリア英語は現在のイギリス英語とほとんど変わらないからだと思います。これは主に、オーストラリア英語がいくつかの異なるイギリス地域のアクセントから発展しているからだと言えます。オーストラリア英語の由来について知りたい方はこちらからご覧ください。
またイギリス人から見た個人的な意見を言うと、オーストラリア英語はイギリス英語と約97%同じです。イギリス英語とオーストラリア英語にはそれほど多くの違いが見られないため、取り上げることが少ないと思います。
しかし実際には、はっきりとした違いがいくつかあるのです。
単語
オーストラリア英語では多くのイギリス英語のスラングが使われています。では、その一部を見てみましょう。
イギリス英語のスラング | 常用英語 | 日本語 |
Brekkie | Breakfast | 朝食 |
Biccy | Biscuit | ビスケット |
Brolly | Umbrella | 傘 |
Choccy biccy | Chocolate biscuit | チョコレートビスケット |
Ciggy | Cigarette | タバコ |
Prang | Accident | 事故 |
Tea | Dinner | 夕食 |
とても若い世代のオーストラリア人の中には、彼らが使っているスラングはオーストラリアが起源だと信じている人がいますが、実際にはイギリス英語が由来となっています。彼らはまだ若すぎるために、表現の由来を理解できていないと思われます。また、オーストラリアで英語を学んだ事がある日本人の中には、オーストラリアで使われているスラングの多くがオーストラリアでしか使われていないと思っている人がいますが、実際はイギリス英語に由来しているということに気づいていないのです。
オーストラリア人だけが使用するスラングもいくつかありますが、これらはイギリス英語やアメリカ英語を話す人は使いません。ではそのスラングをいくつか見てみましょう。
日本語 | オーストラリア英語 | イギリス英語 |
ガソリンスタンド | Servo | Petrol station |
午後 | Arvo | Afternoon / Afters |
酒屋 | Bottle-o | Off-licence |
トイレ | Dunny | Toilet |
マクドナルド | Maccas | Maccy D’s / Maccies |
親戚 | Relos | Relatives |
お菓子 | Lollies | Sweets |
私にとってオーストラリア人が使うスラングの中で、約60%がイギリス英語、残りの40%はオーストラリアが由来となったスラングだと感じています。
文法の違い
オーストラリア英語の文法は、一部の例外を除いてイギリス英語の文法とほとんど同じです。
オーストラリア英語で集合名詞は通常単数形ですが、イギリス英語では複数形になります。
<例>
The Board were unable to come to an agreement. (イギリス英語)
The Board was unable to come to an agreement. (オーストラリア英語)
オーストラリア英語で前置詞である「on」は「the weekend」と一緒に使用されます。
<例>
I’ll see him at the weekend. (イギリス英語)
I’ll see him on the weekend. (オーストラリア英語)
数字を声に出して言う時、オーストラリア英語では「and」を省略する場合が多いです。
<例>
1,467 – One thousand, four hundred and sixty seven. (イギリス英語)
1,467 – One thousand, four hundred sixty seven. (オーストラリア英語)
スペルの違い
オーストラリア英語のスペルは、一部を除いてイギリス英語とほとんど同じです。(以下は一部の異なる単語です)
イギリス英語 | オーストラリア英語 |
Programme | Program |
Analogue | Analog |
Enquire | Inquire |
多くのオーストラリア人は「Honour、Favour、Colour」などの単語に‟ou”を使うイギリスのスペルを好みます。しかし「The Australian Labour Party (オーストラリア労働党)」の「Labor」という単語は例外になります。
発音の違い
イギリス英語とオーストラリア英語の最大の違いは発音です。
オーストリア英語を話す人の中で、特に‟ay”で終わる単語についてはイギリス英語を話す人よりも母音の長さを伸ばす傾向があります。
もう一つの違いはイントネーションです。オーストラリア英語を話す多くの人は語尾を上げて話します。
“We’re going tomorrow.”
イギリス人にとってこのイントネーションは質問文の場合に使うため、以下のように聞こえるのです。
“We’re going tomorrow?“
最後に、オーストラリアのスラングからお気づきかもしれませんが、多くのオーストラリア人は単語を‟o”の音で終わらせることを好みます。「Arvo, Bottel-o, Servo」などの単語はオーストラリアでは一般的に使われていますが、イギリスでは、‟o”の音で終わる単語はあまり使用されていません。
オーストラリア英語に対するイギリス人の知識
イギリス人にとってオーストラリア英語はわりと緩くカジュアルに聞こえますが、失礼な言い方ではなくとても魅力的に感じるようです。
多くのイギリス人が過去にいくつかのオーストラリアのテレビ番組を見たことがあります。オーストラリアで有名な「Round the Twist」という子供向けテレビ番組がありますが、これが1990年代にイギリスで放送されました。さらに「Neighbours」や「Home and Away」という大人向けの有名なドラマもイギリスでとても人気を集めています。このようなことから、イギリス人がオーストラリア英語の発音に非常に親しみを持っていることが分かります。
イギリス人はオーストラリア人と簡単に会話をすることができ、彼らが使用する単語の多くは同じです。たとえ違う単語を使っていたとしても、彼らの話し方はイギリス人とアメリカ人が話すよりも近く似ており、これには多くの理由が挙げられます。
まず一つに、オーストラリアが1788年年にイギリス人によって植民地化されたのに対し、アメリカは1607年に初めて植民地化されたことが理由となっています。そのため、アメリカ英語の方がさらに多くの発展する時間がありました。
次に、アメリカが1766年にイギリスから独立したのに対してオーストラリアは1901年にイギリスから独立した後、大英帝国の一部となりました。第二次世界大戦後には大英帝国から独立しましたが、まだイギリス連邦の一部であり現在のエリザベス2世はオーストラリアの女王でもあります。ある意味、オーストラリアはイギリスと非常に近い関係を保っていると言えるでしょう。
そして最後に、現在の多くのオーストラリア人は18世紀と19世紀のイギリス人移住者の子孫になりますが、他の多くのイギリス人は1940年代後半と1950年代にオーストラリアに移住しています。これは多くのオーストラリア人が20世紀半ばにイギリスから来た移民たちの子供や孫であることを意味しています。
将来
オーストラリア英語が今後どのように変化するのかは言い難いですが、独自のやり方で進化し続ける可能性があります。これによりオーストラリア英語とイギリス英語の違いはさらに増えると言えるでしょう。また将来で、オーストラリア人がアメリカ英語に近い英語を話すようになるかもしれないと言う人もいますが、これが実際に起こり得る可能性は低いと思われます。オーストラリア英語はイギリスやアメリカ以外の国からオーストラリアに移住している移民の影響を大きく受けているのです。
この記事が、オーストラリア英語とイギリス英語の違いや類似点を理解するのに役立つ内容になっていただければ幸いです。
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