イギリス人は紅茶が好きなことでよく知られています。紅茶が初めてイギリスに来たのはいつでしょう?そしてどのようにして普及されたのか?そしてどんな紅茶が人気なのでしょう?今日はイギリスの紅茶文化について見ていきましょう。
イギリスの紅茶文化の始まり
ヨーロッパでは長い間、紅茶は知られていませんでした。中国からの紅茶がヨーロッパに到達したのは1600年代半ば以降でした。最初に、中国から大量の紅茶を輸入した国の一つがオランダです。オランダの業者達はこの新しい商品をアジア地方から持って帰りました。
興味深い事実の一つは、紅茶の前にコーヒーが先にイギリスに伝えられたということです。最初のコーヒーハウス(喫茶店)は、1652年頃にロンドンでオープンしました。その後とても人気となり、イギリスの至る所にコーヒーハウスができました。イギリスの紅茶の歴史は1658年の広告が始まりでした。この時点では紅茶はほとんど知られておらず、それほど人気はなかったのです。
紅茶はどのようにして人気になったのか?
始まりはイギリスではなく、ヨーロッパで一般的となりました。1662年、ポルトガルのキャサリン・オブ・ブラガンザはイングランド王であるチャールズ2世と結婚し、彼女は紅茶が大好きでした。彼女の影響により社交の場では紅茶を飲む女性が増え、さらに人気を増しました。また、多くのコーヒーハウスで紅茶が販売されるようになります。 1600年代後半には紅茶はとても有名になりましたが、値段がまだ高価だったため、裕福な人だけが楽しめる飲み物でした。
![Peter Lely [Public domain], via Wikimedia Commons https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/91/CatherineofBraganza1.jpg](https://eikokugo.com/wp-content/uploads/2017/06/CatherineofBraganza1-245x300.jpg)
キャサリン・オブ・ブラガンザ
彼女はアフタヌーンティー文化ではなく、紅茶を飲む習慣をイギリスにもたらしました。アフタヌーンティーは1840年代半ばに‟アンナ・ラッセル”というイングランド人女性が広めました。アフタヌーンティーの始まりの詳細については、こちらをクリックしてください。
当時のイギリスでは緑茶も飲まれていましたが、1700年代初期では紅茶の方がより人気を集めるようになりました。これは、人々が紅茶にミルクと砂糖を入れて飲み始めた頃で、中国ではこのような飲み方はされていなかったのです。
それから間もなくしてイギリスは世界で有数の紅茶の消費国となり、 18世紀には紅茶の輸入量は4倍となったのです。
紅茶税
紅茶は一般的で手頃な価格になってきているため、多くの人によって飲まれるようになりました。政府はその人気から、紅茶の販売と利益を管理することにとても力を入れるようになり、1700年代半ばの紅茶の税金は100%以上に上昇します。
これは人々がより手頃な価格で紅茶を買うために、密輸業者に目を向けるようになったことを意味しています。
紅茶の密輸は非常に有益な事業となりました。多くの密輸業者はヨーロッパから紅茶を持ち帰りイギリスで販売ていましたが、これらの紅茶の値段も安くはありませんでした。
紅茶の密輸は大きな問題となったため、1700年代後半に政府が紅茶の税金を12.5%に引き下げることを決めました。減税後、紅茶の密輸は消え去りました。
需要の増加
イギリスは膨大な量の紅茶を消費していたため、輸入業者は紅茶をより早くイギリスに輸送する必要があったのです。イギリスの東インド貿易会社は、アジアからの紅茶を最短時間でイギリスに送るために、小型で高速な船の艦隊である「ティーフリート」に膨大な費用をかけました。これらの小さな船の種類は「クリッパーズ」と呼ばれ、現在ではその中の「カティーサーク」という船の展示をグリニッジで見ることができます。ここは観光スポットとして人気となっている場所でもあります。

現在観光地名所でもある「カティーサーク」
現代の紅茶の習慣
イギリスでの紅茶の人気は変わらずに続いていました。イギリス全体では、1日に1億6,500万杯の紅茶が飲まれていると推定されており、国民の約84%の人々が紅茶を飲むとも言われています。1日に3回紅茶を飲むのが一般的であり、また多くの人は牛乳を入れて飲むことを好みます。
しかしイギリス人はコーヒーも好きです。コーヒーは紅茶ほど普及しておらず、イギリス全体で1日に7000万杯のコーヒーが飲まれています。
紅茶の人気ブランドは?
イギリスにはたくさんの種類の紅茶がありますが、イギリス人が好きな紅茶ブランドのランキングを紹介します。
1. Yorkshire Tea
2. Twinings
3. Clipper
4. PG Tips
5. Tea Pigs
Typhoo、Lipton、Tetleyなどのような、上記以外にも日本でも販売されている多くの人気ブランドがあります。
ミルクが最初?
イギリスで紅茶を作る時、牛乳を入れるタイミングについての有名な討論があります。
紅茶を作る際、お湯を加える前に牛乳を入れる人もいます。また別の人は、お湯を入れた後に牛乳を加えます。この話題は友人同士の会話の中でよく出てくるそうです。最近の調べによると、大半のイギリス人がお湯を注いだ後に牛乳を加えることが分かりました。多くの人は、どちらでもいいと考えますが、一部の科学者は、最初に入れるのと後に入れるのとでは味が変わると主張しています。
ドンキービスケット
また、イギリスでは紅茶と一緒にビスケットを食べるのが一般的な文化です。多くの人々は紅茶を飲む前に、ビスケットを紅茶につけて食べることを楽しんでいます。ビスケットにはたくさんの種類がありますが、その中でも紅茶によく合うものがいくつかあるのです。是非この食べ方を試してみてください。思っている以上に美味しいです。
美味しい紅茶を作る方法
美味しい紅茶を作る方法を紹介します。イギリスではほとんどの人がティーバッグから紅茶を作るため、茶葉から入れることは珍しいです。
1. お湯を沸かし、ティーバッグをマグカップに入れます。
2. 沸騰したら、マグカップにお湯を加えます。(お湯は沸騰してから30秒程待って注いでください)
3. 3分程待ちます。※濃い紅茶を作りたい場合は長い時間ティーバッグを浸しておいてください。
4. ミルクを加えます(低脂肪牛乳をお勧めします)
5. 混ぜてから砂糖をお好みの量入れてください。
6. またよく混ぜて、美味しい紅茶をお楽しみください。
Image Credit: (Catherine of Braganza) Peter Lely [Public domain], via Wikimedia Commons