最後に、多くのイギリス人がEUを離脱した理由と、2017年にイギリス国民が離脱についてどのように感じているのかを見ていきましょう。そして今回は、イギリスの一部の人達が在留を望んだ理由についても見ていきたいと思います。
なぜ一部の人は在留に投票したのか?
この議題については少し複雑で、理由はたくさんあります。ここでは最も多かった3つの理由について説明していきます。
1.経済
多くのイギリス人は、EUを離脱することがイギリス経済に大きな被害を与えると感じていました。それはなぜでしょうか?
イギリスの輸出の約44%がEUに輸入されているからです。イギリスが離脱することによって、国は余計な関税(2.3%程度)を支払わなければならない可能性があり、これはビジネスに悪影響を及ぼすだろうと感じていました。一部の企業は他のEU諸国への移転を選択し、雇用が失われる可能性もありました。イギリスがEUとの新たな貿易交渉ができる可能性はありますが、それはあまりにも危険であると感じていたのです。そのため最も安全な選択はEUに留まり、同じ方法で取引を継続することだったのです。
2. EUに住むイギリス人
現在、約300万人のEU国民がイギリスで生活をしており、約100万人のイギリス人がEUに住んでいると言われています。
このイギリス国民はフランスやスペインのような他のEU諸国に住んでいます。イギリスがEUを離脱すると、彼らの将来はとても不安になるでしょう。イギリスが入国制限をした場合、これはイギリスの人々がEUで住むのがより難しくなることを意味するかもしれません。長期滞在者の中には、EU加盟国の年金やビザの有無も懸念されています。
3.不正確なこと
「変化」は時に悪いことかもしれないと思う人もいます。離脱したイギリスの将来について専門家が予測したことに、多くの人々が恐れていました。一部のイギリス政府によると、税金は増額され、雇用は失われ、食料や商品が高くなると言われていました。また他にも、EUに在留した方が将来は安心だと言う人もいました。彼らはすべての国が国境をなくし、同じ通貨を持ち、同じ法律に従うべきだと考えています。イギリスが離脱すればこのような事は不可能になるでしょう。
2017年で国民は離脱についてどう感じているのか?
多くの人々は、イギリス人が投票で離脱の決定を後悔したかどうかを疑問に思っています。2017年の初めに実施された調査によると、イギリスの人々は依然として離脱に投票していました。実際には、EUを離脱する側の支持率が増えたようです。
これはなぜでしょう?
多くの経済学者はイギリスが離脱することに投票した場合、翌日には極めて悪い経済的影響を及ぼすと警告しました。実際にポンドは下落しましたが、イギリス経済は引き続き右肩上がりでした。実際のところ、2016年にG7の中ではイギリスのGDPが2番目に高い成長率を記録しています。悪影響に関する多くの予測は間違っているようで、ポンドの価値が下がったことにより、実際にはイギリス経済の成長を助け、最近のデータはそれがまだ成長し続けていることを示しているようです。
イギリスが今後数年間に渡って、経済的成功を収め続けるかどうかは非常に難しいことです。しかし国民は、いくつかの悪い予測が大きく間違っていると感じています。EUを離脱することについて在留に投票した人の一部(離脱に反対していた国民)は、当初考えていたほど今の状況が悪くないということを実感している人が増えてきています。
次の記事では「この後イギリスに何が起こるのか」について見ていきたいと思います。
Part 1「イギリスとEUの関係と歴史」
Part 2「なぜイギリス国民は離脱を希望したのか?」
Part 3「なぜ国民の一部は離脱を望まなかったのか?」
Part 4「EU離脱を決める国民投票から1年後」
Part 5「ブレグジットの最新情報(2017年9月)」
Part 6「ブレグジットから2年」
Part 7「ブレグジットの最新情報(2018年12月10日)」
Part 8 「ブレグジットの最新情報(2019年4月5日)」