今日は、イギリス人がEU離脱に投票した理由について見ていきます。まずBrexitという言葉について学んでいきましょう。
Brexitとは?
Brexitとは、EUからイギリスが離脱することについて話す時に使う言葉です。イギリスの国民はEUに在留するかどうかについての国民投票を望んでいました。国民投票は2016年6月23日開催され、EU離脱に52%、48%が在留を支持する結果となりました。これはイギリスがEU離脱を選択したことを意味します。
Brexitという言葉の由来は?
2015年に、ギリシャ(EU加盟国)は国家債務に関する国民投票を行いました。一部の人々は、ギリシャがEUを離れなければならない可能性があると考えていたのです。そこで「GREXIT」という新しい言葉が作られました。これはギリシャ(Greece)と出口(Exit)という言葉が組み合わさってできた言葉です。
その後、2015年にイギリスが国民投票を行うことが発表されました。この時からBrexitという言葉を使い始めた人もいます。これはイギリス(Britain)と出口(Exit)という言葉が一つになったのが由来です。
このことから「Brexit」は、2016年に最もよく使われた言葉の1つとなりました。
なぜイギリス人はEU離脱を希望するのか?
これは非常に複雑な問題です。大多数のイギリス人が離脱に投票した理由は1つだけではありません。そこには多くの理由がありました。
では、最も一般的な理由を見ていきましょう。
1. イギリスの主権
すべてのEU加盟国はEUの法律に従う必要があります。多くの人がこのシステムを好んでいません。イギリス政府はいくつかの法律を作成または変更する権限を持っていますが、イギリス政府はEU政府より強い力がありません。
EUが新しいEUの法律を制定する場合、それに同意しない場合にもすべての加盟国はそれに従わなければならないのです。一部の人々は現在、イギリスの法律の約60%がイギリス政府ではなく、EU政府によって制定されていると推定しています。
イギリス政府はEUの法律を停止または変更する権限を持っていなく、多くの国民はイギリスがもはやその法律を支配する主権国ではないと感じているのです。
例えば他の国で日本の法律が決定され、日本の政府が新しい法律を変える権限がないのと同じ状況に当たります。

ストラスブールにあるEUの議事堂
2. 入国
すべてのEU加盟国は加盟国間で入国を制限することができません。これは、EU加盟国の誰でもが自由な意志で別のEU加盟国に入国できることを意味します。
例えば、スペイン人がイギリスで働くことができるようイギリスに移住することができます。このシステムは「フリームーブメント」と呼ばれています。
しかし、これが今問題を引き起こしているのです。
イギリスの人口は急速に増加しています。 2016年でイギリスへの入国者数は273,000人でした。これは多くの人々がイギリスに移住し、彼らはEUから来ています。このような急速な増加に国が追いつかず対処しきれないため、多くの町や都市で病院や学校が不足している状況になっています。
そのため多くの国民はEUからの無制限の入国が良くないと感じています。
EUは2015年1月にこの考えを拒否しました。イギリス人はEUが入国問題について交渉する意思がないため、EU入国管理の唯一の手段はEU離脱だと感じていたのです。
イギリスの入国問題について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
3. 経済
EUに在留すれば、イギリスの経済はさらに良くなると考えている人は多くいます。しかし他の人は、EU離脱がイギリスの経済効果に繋がると考えています。ではなぜでしょうか?
すべてのEU加盟国は、EU以外の国々と個別の貿易協定を締結することはできません。これはイギリスが日本との直接取引を作ることができないということを意味します。 EUはEU諸国と非EU諸国との間で貿易協定を締結し、全加盟国のために行動します。イギリスはEU以外の国々と多くの物の売買を希望していますが、貿易取引を交渉することができません。EU圏外でイギリスはアメリカやオーストラリア、日本などの国々と自由に多くの新しい貿易協定を作り出すことができると人々は考えています。
EU離脱を望む多くの人々は、これが経済にとってより良い方法であると考えているのです。
人々がEU離脱に投票した理由は他にもたくさんあります。
次回は、‟なぜ多くの人々がEU在留に投票したのか”について見ていきたいと思います。
Part 1「イギリスとEUの関係と歴史」
Part 2「なぜイギリス国民は離脱を希望したのか?」
Part 3「なぜ国民の一部は離脱を望まなかったのか?」
Part 4「EU離脱を決める国民投票から1年後」
Part 5「ブレグジットの最新情報(2017年9月)」
Part 6「ブレグジットから2年」
Part 7「ブレグジットの最新情報(2018年12月10日)」
Part 8 「ブレグジットの最新情報(2019年4月5日)」