EIKOKU GO

Everything British

EIKOKU GO

Everything British

ブレグジット

ブレグジットの最新情報(2018年12月10日)「ブレグジット Part 7」

Image via Flickr

‟Brexit”と言う言葉に聞き飽きている人も多いかと思います。特にイギリス人がそうです。しかしイギリスがEUを離脱する期限は迫っており、予定では2019年3月29日となっています。正確にはどうなるかは不明ですが、ここでは過去2年間に起こったことを類推して簡単に説明していきます。また、現在イギリスで何が起こっているのかを知りたい人にも是非読んでいただきたいと思います。

EUを離脱することを‟バス旅行”と仮定して考えてみてください。

まずバスに乗っている100人の乗客をイギリス国民、バスの前で立っているツアーガイドをイギリスのBBCメディア、そして最前列付近に座っている5人のバスドライバーのうち1人だけがバスを運転しています。彼らはイギリスを代表する政治家であり、運転手は首相であるテリーザ・メイと仮定します。

物語

バスツアー会社は乗客に、2つの目的地(2016年に実施された国民投票)のどちらかを選ぶことができると伝え、その選択肢は「都市A」または「都市B」です。都市Aは「EU在留」、都市Bは「EU離脱」を表しており、乗客はツアー会社から投票は1度きりで、2度目はないと告げられます。そしてどちらの選択肢であってもツアー会社はそれに従うようです。

しかしツアー会社は都市Bの選択は推奨せず、都市Aの選択を勧めました。 そして5人の運転手のうち4人は都市Aが好ましい選択であり、都市BはAに比べてコストのかかる高い場所であり、経路が複雑だと言っています。またツアーガイドも都市Aをお勧めし、都市Bの欠点すべてをリストに挙げました。

そして最終的に乗客の52人が都市B、48人が都市Aを選択しました。この結果はツアーガイド、運転手、ツアー会社に衝撃を与えましたが、彼らは仕方なく都市Bへ向かうこととなりました。運転手(メイ首相)は都市Bまでの道のりは2時間かかると伝えます(この2時間は離脱の交渉期間である2019年3月までの2年間を表しています)。

バスが高速道路を走行中、都市Aに投票した乗客の一部が他の乗客まで侮辱し、失礼な言動を放ち続けていました。「都市Bを選んだ乗客は馬鹿だ、間違った選択だ」と都市Aが最良の選択だと主張するのです。その後、ツアーガイドも都市Aの方が良い選択肢であり、都市Bへ行くことには大きな不便があると言い始めました。終いには、バスの運転手は都市Bではない方向へ運転を切り替え、2時間では時間が足りないのでさらにもう2時間必要であると言うのです(これはメイ首相が2020年まで離脱の期限を延ばしたことを表しています)。都市Bに投票した乗客は腹を立てていましたが、彼らはこの結果を受け入れました。

それから少しの時間が経ち、今度は都市Bを選んだ乗客のうち4人が、心変わりしたので都市Aに行きたいと言い始めました。しかし都市Aを選んだ乗客のうち6人も心変わりし、彼らは都市Bに行きたいと言っています。乗客は互いに話し合い、約54人が都市Bに行きたいという結果になり、他の30人は多数決により仕方なく都市Bに行くべきであると述べます。そして残りの16人は都市Aに投票した乗客であり、彼らの意見は変わらないため、都市Bを選択した乗客とバス内で対立していました。

腹を立てた16人の乗客のうち何人かはバスの先頭へ行き、ツアーガイドと運転手と直接話をします。ツアーガイドは彼らの意見に耳を傾け同意し、多くの人は心変わりしたため大多数の人が都市Aに行くことを希望していると発表しました。都市Bに行きたい54人の乗客はこれには同意していませんが、ツアーガイドは彼らの意見を無視したのです。また運転手はそうするとさらに2時間かかり、計6時間の道のりになると伝え、さらにはバスのガソリンが足りないのでガソリンスタンドに寄る必要があると言いました。

バスがサービスエリアに到着すると、乗客の多くが今まで通って来たルートは都市Bに近づいていないことに気づき、運転手はわざとガソリンと時間を無駄に費やしたのです。運転手は都市Bに向かうつもりはなく、乗客の大多数がイライラし始めています。5人の運転手はこれからどうするべきかを話し合っていました。そのうちの 3人はバスが都市Bへ行くことは許可しないと主張し、運転手(メイ首相)は妥協案を出し、1人の運転手だけが都市Bへ向かうと主張しています(この運転手はEUを離脱し国民の決定を受け入れるイギリスの政治家と仮定します)。しかし他の4人の運転手は、この運転手には運転させないようにしたのです。

そしてバスは旅を続けていると、今度は運転手(メイ首相)が都市Aの近くに位置する‟都市C”と呼ばれる別の場所へ向かうことを提案しました。これには都市Bに行きたい乗客のほとんどが腹を立て、都市Aに行きたい乗客も激怒しました。運転手は都市Cは都市Aと同じ利点があり、また都市Bともよく似た場所であると言いますが、乗客全員が彼女の言うことを信じませんでした。

ツアーガイドは「都市Cは最初から乗客たちが投票していた都市です」と言い始め、都市Aに行きたい16人の乗客もツアーガイドと同じことを言っています。そして運転手は、選択肢は都市Aか都市Cの2つしかないことを発表し、これには乗客全員が怒り疲れ果て、もう旅を終わらせたいと感じていました。

  • 都市Bへ行きたい大半の乗客は心変わりしたのですか?

答えは「No」です。少数の人達は心変わりしましたが、乗客全員のうち大半はまだ都市Bへ行くことを望んでいるのです。

  • では大半の乗客は都市Cに行きたいのでしょうか?

答えは「No」です。ほぼすべての乗客がこれには反対しています。

  • 運転手達は都市Bに行くことを許可しますか?

いいえ、4人の運転手が許可しません。

  • ツアーガイドは乗客達の希望に同意しますか?

いいえ、しません。

ツアーガイドは、「都市Bを選んだ乗客全員がよく分かっていなかったため、もう一度別の投票をした方がいい」と言っていますが、ほとんどの乗客はもう一度したくないので非常に腹を立てています。彼らはただ都市Bに行きたいだけなのです。そして他の運転手同士でも揉め始め、高速道路を走行中にハンドルを奪い合っていました。

まさにこれがイギリスの政治内で起こっていることなのです。

現状

メディアの言うことをよそに、大多数のイギリス人は依然としてEU離脱を望んでいます。最近行われた大きな調査の1つに、「EU在留か、または正式な貿易協定を結ばずにEUを離脱するか、どちらを選択しますか?」という質問がありましたが、 その結果52%の人が‟離脱”を選んでいます。

上のバスツアーの例では、‟5人の運転手のうち4人が都市Bへ行くことを拒否した”と述べましたが、これはイギリス議会にいる650人の政治家のうち、約500人がEU離脱を望んでいないということを表しています。

現実にメディアは、‟何が何でもEUに在留したい”という少数のイギリス人を常にテレビやニュースなどで伝えています。2016年の国民投票で在留に投票した多くの人は、これは多数決で決まったことなのでイギリスは離脱するべきだと言っていますが、もしその結果を無視すれば非民主的となるでしょう。イギリス国民の大半が2度目の国民投票を望んでいませんが、メディアは国民が望んでいると主張し、在留に仕向けるような世論調査を作りました。多くのイギリス人は、イギリスはもはや民主的ではないと考えるようになってきていますが、少数独裁政治になりつつあります。

離脱に投票したイギリス人は非常に忍耐強いですが、激怒しています。メイ首相は、イギリスのEU離脱を取り止め、そして大多数の政治家も同じことをするだろうと国民は感じているのです。もしそのようなことが起これば国民の不安やデモにつながり、多くの人が今後数週間の間に何が起こるのかを心配しています。

私がこの記事の最後に言いたいことは、「EU離脱に投票したイギリス人が離脱したらその後どうなるかを理解していなかったために、2度目の国民投票が必要である」とメディアが絶えず言及しているということです。これは侮辱行為です。もし英語を理解できる方は、2016年に行われたこのキャメロン首相の動画をご覧ください。この演説は2016年の国民投票前に行われました。

YouTube (LINK)

そして英語が分からない方には簡単に説明します。

彼は「国民だけがEU離脱や在留を決める権利がある、それは政治家ではない。そして、もし国民が離脱に投票すればEUはその結果を懸念し、イギリス国民の不安に耳を傾けようとします。そしてイギリスとEUは問題について再交渉し、結果イギリスが離脱を取り消すこととなる。これは間違った手法であり、2度の国民投票は行いません。1度出た結果は最終的な結果であり、人々が離脱に投票した場合にはイギリスは離脱するのです。ですから結果を逆転させるチャンスというものはなく、慎重に検討し選択するべきである。」と述べました。

これに加え政府は、国民が納めた税金920万ポンドでリーフレットを作成し、イギリスのほとんどの家庭に配布されました。またこのリーフレットには‟投票は1度きりである”ということが書かれており、 BBCとEU在留を希望する政治家のほとんども同じことを言いました。なのでイギリス人が、この選択(離脱)によって今後どうなるかを認識していないとは言えません。 EU在留を希望する少数のイギリス人とイギリスのメディア、そして政治家だけが2度目の投票を望んでいるのです。彼らは国民投票前に自分たちがどんな発言をしたのか忘れたフリをし、これにはまったく誠意が感じられません。

今週12月11日に、イギリス議会で重要な投票が行われる予定ですが、そこで何が起こるのかは誰も知りません。しかし考慮すべき最も重要なことは、EU離脱を選んだイギリス国民の忍耐力が尽きているということです。私はこの数週間、数か月で起こることがイギリス政府にとって歴史的なものになると確信しています。

前回のBrexitの記事をご覧になりたい方は下のリンクをクリックしてください:

Part 1「イギリスとEUの関係と歴史」

Part 2「なぜイギリス国民は離脱を希望したのか?」

Part 3「なぜ国民の一部は離脱を望まなかったのか?」

Part 4「EU離脱を決める国民投票から1年後」

Part 5「ブレグジットの最新情報(2017年9月)」

Part 6「ブレグジットから2年」

 

Image Credit: Theresa May image by Tiocfaidh ár lá 1916 via Flickr

関連記事

【最新】人気記事TOP5

イギリス英語TOP5

人気記事TOP5