聖ジョージの日は4月23日にイングランドで祝われています。今日はこの行事について見ていきましょう。
聖ジョージとはどんな人?
聖ジョージとはイングランドの守護聖人ですが、彼はイングランド人ではなく、実際にはトルコ出身です。多くの歴史家によると、聖ジョージは270年頃にトルコのカッパドキアという地域で生まれました。聖ジョージは信仰心の厚いキリスト教徒であり、若い頃にローマ軍に加わりました。その後彼は軍隊の高官となります。
当時のローマ帝国の皇帝であったディオクレティアヌスは、キリスト教徒ではなく異教徒でした。皇帝は多くのキリスト教徒を迫害し殺したのです。聖ジョージは皇帝に直接会って彼にその行為をやめるよう懇願しました。しかし皇帝はその要求に腹を立て、聖ジョージにキリスト教信仰をやめるよう命じましたが彼はそれを拒否したため、拘束された後に死刑判決を受けました。そして303年4月23日に斬首されることとなります。
その後何年か経ち、494年に聖ジョージはに法王によって列聖されます。聖ジョージはヨーロッパの多くの教会で名を知られるようになりました。
聖ジョージの伝説
聖ジョージの死後何年か後に、彼の伝説は生まれました。最も有名な伝説の一つは12世紀に起こった出来事です。ドラゴンの犠牲になる寸前だった王女を救出するために聖ジョージがリビアに旅に出ます。そしてジョージはドラゴンを殺し、王女の救出に成功したのです。中世時代、悪魔の代表としてドラゴンがよく使われていたため、この話はキリスト教の中で人気がありました。
聖ジョージと言えば、‟勇敢さ、名誉、勇気”が連想されるでしょう。彼は白地に赤い十字架が描かれた旗か盾を掲げていたと言われています。これがSt. George’s Cross(セント・ジョージ・クロス)と呼ばれるようになり、ヨーロッパの多くの国々がこの旗を使用し、12世紀と13世紀の十字軍の間で使われました。その後すぐにリチャード1世がこのデザインの旗をイングランドに持ち帰り、間もなくして国の国旗となりました。
多くの国の守護聖人
聖ジョージは1350年、エドワード3世によってイングランドの守護聖人になりました。しかし彼は他の多くの国の守護聖人でもあります。ジョージア(国)とイングランドの旗がとても似ていることから、ジョージア(国)の守護聖人でもあり、さらにはルーマニア、マルタ、ゴゾ、ポルトガル、アラゴン、スペインのカタロニアの守護聖人でもあるのです。

左:イングランド 右:ジョージア(国)
聖ジョージの日にイングランドの人々は何をするでしょう?
聖ジョージの日はイングランドの国家の日ですが、祝日ではありません。多くのイングランド人はパブで伝統的なイングランド料理を食べることを楽しみます。イングランドの有名な賛美歌である「エルサレム」を、4月23日に大聖堂で合唱することがよくあります。今日はイングランドの多くの町や都市で、セント・ジョージ・クロスが掲げられているでしょう。
近年では聖ジョージの日を祝うために、多くの町で歴史的なイベントが開催されています。時々、中世の衣装を着た人々が聖ジョージとドラゴンの戦いを再現するイベントが行われます。興味深いことに祭の中で聖ジョージは中世の鎧で表現されていることが多いですが、実際には4世紀ではローマ兵士だったのです。
ここ数十年、聖ジョージの日は人気が低迷していましたが近年、再び人気が上昇してきています。多くのイングランド人にとって、イングランドの文化と歴史を祝う日が今でも存在することはとてもいい習慣だと思います。
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Image Credit: Flags Saint George’s Day 2011 in Trafalgar Square, London by John Pannell (Flickr: DSC_0353) [CC BY 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/2.0)], via Wikimedia Commons
English Festival, St. George’s Day, Riverside, Medway George by The Local People Photo Archive [CC BY 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/2.0)], via Wikimedia Commons