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イギリス人とヨーロッパ人

なぜイギリス人はヨーロッパ人ではないと言うのでしょうか?

いくつかの世論調査によると、大半のイギリス人が自分はヨーロッパ人であると感じていません。では、なぜこのように感じている人が多いのでしょうか?

実態を見ていきましょう。

‟European”という言葉が意味することは?

まず、‟European”という言葉には2つの意味があります。

名詞では “ヨーロッパ大陸のネイティブ住民” という意味があります。イギリスはヨーロッパ大陸の中にある島国であり、地理的な意味で言うとイギリス人はヨーロッパ人ということになります。

では、イギリス国民は地理学には無知であり、またイギリスは島国なのでヨーロッパ大陸の一部ではないと考えているのでしょうか?

答えは「No」です。

国民は、イギリスはヨーロッパ大陸の一部であるということを認識しています。日本もアジア大陸に位置し、日本人がアジア人であるようにすべてのイギリス人も、地理的に言うとヨーロッパ人であるということを認識しています。

一方、形容詞での‟European”には、‟ヨーロッパと住民の特徴”という意味があります。この意味は文化的定義であり、多くのイギリス人はこれには当てはまらないと感じています。

このように地理的にはイギリス人はヨーロッパ人ですが、実際に “ヨーロッパ人である”とは感じていないのです。

イギリス、ヨーロッパ、EU

「なぜ多くのイギリス人は自身をヨーロッパ人ではないと考えるのか」について説明する前に、覚えておくべき大事なことが2つあります。

1. EU(欧州連合)とヨーロッパは同じではありません。EUは28カ国からなる連合であり、ヨーロッパは50カ国からなる大陸です。近年、「EU」と「Europe」のことを「European」 と同じ意味で表現されていますが、実際には同じではありません。EUはヨーロッパではなく、ヨーロッパの半分の国(50ヶ国)から成り立っている連合のことを言います。

2.メディアを含む多くのイギリス人は、大半の人がヨーロッパ人という認識がないために、2016年の国民投票でEU離脱に投票したのではないかと感じています。しかし実際この理由だけではありません。ほとんどの人がさらに重要な理由で離脱に投票しています。なぜ多くの国民がEU離脱を選んだかについては、こちらからご覧ください。

ヨーロッパ人ではない

前にも言いましたが、国民はイギリスがヨーロッパに位置していることを理解しています。それに加え、イギリスと他のヨーロッパ諸国が歴史と文化を共有していることも知っているように、誰もが当然のことであると感じているのです。

しかし多くのイギリス人は、イギリスは他のヨーロッパ諸国とは文化的に大きな違いがあると感じているため、他のヨーロッパ諸国の人々のことを‟ヨーロピアン”と言います。言われた側はこれについて理解できず、憤りを感じている人もいます。多くの国々では、この気持ちを理解することは難しいと思いますが、私は日本人には理解できるのではないかと感じています。

それはどうして?

日本はアジアに位置していますが、イギリスと同じように日本も島国です。日本の文化、態度、習慣はたくさんの独自の方法で発展していきました。日本人にとって日本は他のアジア諸国とは違うと感じるように、イギリス人にもヨーロッパに対して同じ感情を持っているのです。

重要な理由

イギリス人がヨーロッパ人だと感じていない理由はたくさんあります。すべての理由を挙げるには少し多すぎるので、主な4つを挙げたいと思います。

1.島の要塞

イギリスはこれまでの歴史の中で何度も侵略されました。最後の侵略は1066年のノルマン人によるものでした。その時からイギリスはスペイン(アルマダの海戦)、フランス(ナポレオン戦争)、ドイツ(第二次世界大戦)など他のヨーロッパ諸国の侵略からうまく防御してきました。これが島の精神を生み出し、イギリスの人々は自身の‟アイデンティティ”を守らなければならないと感じるようになっていったのです。

アルマダの海戦

2.言語

他のヨーロッパ諸国では​​、英語を母国語として使用する国はありません。島国であるため、イギリス人は他のヨーロッパの言語を学ぶ必要がありませんでした。またフランス、ドイツ、スイスなどの国は、国と国の国境が接していたことから互いの言語を学ぶ必要がありました。イギリス人が他のヨーロッパ人に比べて、別のヨーロッパの言語を話さない理由はここにあったのです。

3.コモン・ロー(慣習法)

コモン・ローとはイギリスで用いられている法制度のことです。これは11世紀にイギリスから始まり、アメリカ、カナダ、インド、オーストラリアなど他の国々にも浸透していきました。イギリス以外のヨーロッパすべての国は民法が用いられています。民法とコモン・ローは全く異なるものです。イギリス人からすると、ヨーロッパ人のような法律に従った考え方や生き方とは大きく違っているのです。そのため、現代のビジネススタイルも大きく違うことがあるようです。

4.帝国

ナポレオンが敗北した後、イギリスにはライバルがいませんでした。大英帝国は19世紀に拡大し、貿易は劇的に増加しました。これはイギリスが他のヨーロッパ諸国から孤立し、自国の利益に重点を置くことができたことを意味していました。さらにイギリス人は、他のヨーロッパ諸国よりも大英帝国であったカナダやオーストラリアなどの国々との共通点が多くあると感じていました。

イギリス人はヨーロッパについてどう感じているのか?

ヨーロッパ人を含む多くの人々は、イギリス人がヨーロッパや他のヨーロッパ人のことを良く思っていないと感じています。これはおそらく多くのイギリス人がEUを嫌っているからでしょう。

では、実際にイギリス人はヨーロッパを好きではないのか?

そんなことはありません。ヨーロッパが好きなイギリス人は数多くいます。彼らは食や文化の違いを楽しんでいます。定年を迎えた多くのイギリス人が、スペインやフランスに移住しています。イギリス人はヨーロッパが今のままであることを望み、EUが超大国にしようとしていることを望んでいません。イギリスの人々は「ヨーロッパは好きだがEUは好きではない」とよく言っています。

興味深いことに、イギリス人がフランスやドイツなどに旅行に行く時、「長期休暇でヨーロッパに行ってくる」とよく言いますが、これはイギリス人がイギリスとヨーロッパは別であると認識していることを表します。彼らは他のヨーロッパ諸国のことを言う際によく “on the Continent” という表現を使っています。

要するにイギリス人は、ヨーロッパの文化としてではなく、大陸の一部であると認識しています。文化と大陸は別物として見ていて、ほとんどの人はイギリスはイギリスであると考えているのです。

イギリスの中だけで見ても、多くのイングランド人やスコットランド人が自身をイギリス人ではないと言います。イギリスの人々が自分自身をどのように判別しているかについては、こちらをご覧ください。