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イギリスの階級制度

階級制度の変化

(2017年10月)

多くの人がイギリスの階級制度について聞いたことがあるかと思います。そして現在の階級制度は昔と比べて何が違うのか多くの人は疑問に感じています。人々は階級社会が原因で差別を受けているのでしょうか?見ていきましょう。

イギリス階級制度の始まり

中世の間、社会の中で人々は異なる階級に分けられていました。肉体労働者や農業を営む農民。上流階級と呼ばれる人は法律や政治に携わり、中には同様の権力を持った騎士もいました。そして社会のトップにいた貴族と王族。この生活様式は日本の「封建制度」に似ています。

この階級制度は、時代を通じて進化し続けていました。 長年にわたって階級制度は発展し、19世紀末には全く別の階級社会がありました。そして3つの階級があると言う人もいますが、実際には4つあります。

4つの階級社会

“The Upper Class”  上層階級

この階級の人々は、社会の中で最も豊かで強い権力がありました。彼らは土地を所有し、代々称号を受け継ぐ貴族であり、上層階級の男性が政治家になることは非常に一般的なことでした。

“The Middle Class”  中流階級

この階級の人々は、医師、エンジニア、会計士のような専門職に就き、良い教育を受けていました。彼らの大半が土地の所有者や称号を持つ人々ではありませんでしたが、世の中の人達に比べて快適な生活を送っていました。中流階級の家庭ではほとんどの子供が私立学校に通っています。

“The Working Class”  労働者階級

19世紀後半、イギリスの大半の人々は労働者階級でした。彼らは肉体労働に励み、多くの人が工場や造船所のような場所で働いていました。そして教育はほとんど受けておらず経済的には貧しい階級だったため、ほとんどの人が厳しい生活を送っていました。

“The Underclass”  下層階級

下層階級は社会の中で最も低い階級でした。下層階級は失業者や、通常の教育を受けていない非常に貧しい人々で、ほとんどが文盲でした。彼らの多くは、ホームレス、または貧困者収容施設で生活をしていました。

外観

大体、誰がどの階級であるかは外観で判断でき、服のスタイルは階級によって大きく違いがありました。男性の場合は通常、帽子を被っていたためその帽子のデザインによって階級を見分けることができました。上層階級の人は、特にフォーマルなイベントではトップハットを被る習慣があり、中流階級の人はよくボーラーハットを被っていました。イギリス人と言えばボーラーハットを被り、ブリーフケースを持った男性を思い浮かべる人も少なくないでしょう。そして、労働者階級と下層階級の人はハンチングを被っていました。

社会的態度

階級制度は人々の互いの関わり方に大きく影響を与えました。上層階級の人々は労働者階級と交流を持つことを好まず、その逆も同じでした。

また、話し方さえも影響を受けていました。英語のRPアクセントは中流階級と上層階級によって使われ、労働者階級には「労働者階級アクセント」という異なるアクセントがありました。補足ですが、このアクセントは今日も存在しています。

人々は互いの会話を聞いて、彼らがどの階級に属しているかを素早く認識することができます。これは他の階級の人々の話し方が互いに影響を与えたのでしょう。

有名なディズニー映画「メリー・ポピンズ」 バンクスファミリーは上層階級でした

中流階級と上層階級は労働者階級を尊重していませんでした。これが原因で階級同士の間で分裂が起こってしまいます。労働者階級の人の多くは、上層階級の人々が謙虚な人の生き方や直面しなければならなかった苦労を理解していないと感じていました。

階級制度はまた、人の人生のチャンスに影響を与えました。上層階級の家庭で生まれた場合は将来、政治的に重要なキャリアを持つ可能性が高くなります。また、労働者階級の家庭に生まれた場合には皆同じ工場で働くか、両親と同じ職業に就く可能性が非常に高くなります。

20世紀での階級制度の変化

第二次世界大戦後、20世紀後半にかけてイギリスの階級制度は大きく変わりました。生活水準と社会移動の向上により多くの人々が中流階級となったのです。

一方で上層階級は大きく減少し、権力のある豊かな家庭の大半が所有していた土地と称号を失いました。20世紀の終わり頃にはこの階級はなくなり、階級制度は以下のように変わりました。

“The Upper Middle Class”  上流中産階級

この階級のほとんどの人は、昔の上層階級だった人達です。通常、富はこの階級に継承され、彼らは私立の学校に通い、大学はオックスフォードやケンブリッジ大学に通っていました。この階級の人々が政治家になることはまだ一般的であると言われています。

“The Middle Middle Class”  中流階級

これは元の中流階級と同等になります。この階級の人は通常、自分の家を所有し、RPアクセントがあります。そして中流階級のほとんどが大学に行って教育を受けています。

“The Lower Middle Class”  下流中産階級

通常この階級の人は、専門的ではない事務職などの職業に就いています。適度な額の給料を稼いでいますが、全員が自分の家を所有しているとは限りません。彼らはRPアクセントではなく、それぞれの地域のアクセントを保持して使い続けています。

“The Skilled Working Class”   熟練労働者階級

この階級の人々は大学には行かず、専門的な職業について学びます。その多くは配管業者、電気技師などの自営業を営む人達であり、時々彼らはその仕事でよく稼いでいます。

“The Unskilled Working Class”  未熟な労働者階級

1970年代には、この階級の多くの人が製造業、炭鉱または繊維工場で働いていましたが、これらの産業の多くは姿を消し、彼らは仕事を失いました。現在この階級の一部の人は、低賃金で小売業の仕事に就いているか、国の福祉を頼りに生活しています。

階級差別

労働者階級の人々は、仕事の面接などの場で労働者階級以上の面接官から面と向かって差別を受けることがあると主張しています。例えば、労働者階級の人が彼らのアクセントを使った場合、面接官はそのアクセントを否定的に捉え、RPアクセントの人を採用しようとします。

また逆も事実だと言えます。中流階級や上層階級の人が労働者階級の人が集うパブや施設を訪ねると、彼らのアクセントが明らかに労働者階級ではないため、非常にまれなケースですが他の客から歓迎されないことがあります。これは労働者階級には、高い階級の人に比べてフレンドリーで受け入れやすい人が多いと言われているからです。

ほとんどのイギリス人が、階級差別は政治内で最も明らかであると言います。イギリスの政治家の大半が上流中産階級や中流階級の人達です。約35年前、マーガレット・サッチャーが首相だった頃、議会の約98人の政治家は肉体労働の経験がある人達でした。2013年になるとその人数はわずか25人にまで減っていることが分かっています。同じ調査によると、議会の政治家の90%が大学を卒業しており、そのうちの30%がオックスフォードまたはケンブリッジ大学に通っていたことが明らかになっています。

労働者階級の人々は、政治家が平均的な人の生活を理解したり共感することができないため、政治家が国民の代表となることは不可能だと感じています。多くの労働者階級の人々は、この政策が価格や税金を上げるなど労働者階級にとって不利な状況にしている一方で、上流中産階級や中流階級の裕福な人にはさらなる利益をもたらしているようだと言っています。イングランド北部の労働者階級の人々は、ほとんどの投資や資金がロンドンやイングランド南部で使われ、特に北部は軽視されていると感じています。

将来の階級制度

イギリスは現代の先進国の中で最も厳しい階級制度を持っている国の1つであると言われています。制度の背景に基づき、さらに差別を促してしまうと感じているため、多くのイギリス人はこの階級制度をなくしたいと思っています。しかし最近の調査では、中流階級の人々は、以前より労働者階級の人々に対して敬意を示していると言われています。

興味深いことに最近の世論調査によると、イギリス人の50%以上が自分自身を労働者階級であると位置づけていることが明らかになりました。しかし実際にはこの数字は確かではなく、おそらく多くの人が労働者階級であろうと認識しているのです。

将来、階級制度がなくなるというのは厳しいと言えます。イギリス人の多くもそう感じています。これは、労働者階級の人々がこの階級であることを誇りに思っているからです。労働者階級であるということは、まじめに働き、世界を理解していることを意味します。他の階級も制度の変化を見るのは不本意でしょう。