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イギリスの政治家「ナイジェル・ファラージ」

現在イギリスで最も影響力のある政治家

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c2/Nigel_Farage_%2846390641752%29.jpg

イギリスでは、ナイジェル・ファラージという人物が現代で最も影響力のある政治家だとよく言われています。実際には、大半のイギリス人は彼がイギリスのEU離脱を問う国民投票を起こした張本人であると感じています。多くのイギリス人が彼に好意を持ち支持していますが、その他多くのイギリス人は彼を嫌っています。

私はこの記事で彼の背景やいくつかの情報、そしてイギリス政治において非常に重要人物となった理由について説明したいと思います。

背景

ナイジェル・ファラージは1964年に南イングランドのケントで生まれ、1975年から1982年までダリッジ・カレッジに通いました。

学生の頃、イーノック・パウエルという有名な保守党の政治家が彼のパブリックスクールを訪れます。ファラージはパウエルを賞賛し、その当時から彼は保守党の一員になることを決心していました。ファラージの教師達は彼の右翼の見解に懸念を抱いていましたが、数年前にファラージ自身がパウエルを支持したことにより、左翼である教師達が自分を敵対視していたと述べています。興味深いことに彼は1989年に当時は左翼の党で有名だった緑党に投票していますが、彼はこの政党の欧州懐疑主義政策に対して支持をしたと述べています。

1982年にパブリックスクールを卒業した後、彼はロンドン金属取引所にて商品取引業者としてシティ・オブ・ロンドンに就職することを決めました。それから20年ほどの間に素晴らしい経歴を残します。

1985年11月20日、ファラージは外出した際に車に轢かれて重傷を負います。当初左脚を切断する必要があると言われていましたが、幸いにも切断することなく怪我から回復しました。彼は足をギブスで固定したまま約1年間過ごすこととなります。そして最初の妻と出会ったのはこの時でした。彼女はアイルランド人で、彼の治療を担当している看護師でもありました。その後の1986年、ファラージは精巣癌になり1つの睾丸を取り除く手術を受け、癌を取り除くことができました。そして1988年に最初の妻と結婚し、1989年と1991年には2人の子供に恵まれました。

政治家としてのキャリアの始まり

ナイジェル・ファラージは当時首相であったマーガレット・サッチャーの支持者でした。彼はイギリスがEUに加わることに対して常に反対していましたが、1992年にジョン・メージャー首相(保守党)は「マーストリヒト条約」に署名しました。これが本質的なEUの始まりであり、このジョン・メジャーの署名はイギリスがEUの一部になることを意味していました。

ナイジェル・ファラージはこれに抗議して保守党を辞めました。彼は保守党がもはや信頼できないと感じており、保守党に反EUである政治家がいたとしても党全体がイギリスのEU離脱を支持することは決してないだろうと考えたのです。そして1993年、ナイジェル・ファラージは「UKIP」としても知られている「The United Kingdom Independence Party(イギリス独立党)」と呼ばれる新しい政党の設立メンバーの一人となりました。この政党の主な政策は、イギリスをEUから離脱させることです。

1997年に彼は最初の妻と離婚します。その2年後の1999年、彼はイングランド南東部の欧州議会議員(英語では”MEP”とも呼ばれています)に立候補すると見事選挙に当選し、MEPの一員となりました。また1999年には彼の2人目の妻となるドイツ人女性と出会い、二人の子供を授かります。その後数年間、ナイジェル・ファラージは優秀な演説者として高い評価を得ました。そして2004年、2009年、2014年の3度のMEPでも再度当選を果たしています。

2006年にはUKIPの党首に抜擢され、UKIPは徐々にイギリス中で知られるようになりました。UKIPはイギリスがEUを離脱し、劇的に移民を減少させることを望んでいる政党として有名になります。しかしこのような理由から、何人かの国民はこの政党は「反外国人」であると感じており、彼らは否定的な見方をしていました。しかしUKIP、特にファラージは、政党は入国に反対しているのではなく無制限な入国に対して反対していると述べました。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/84/Nigel_Farage_of_UKIP.jpg

2008年のナイジェル・ファラージ

ファラージは欧州議会で何度もMEPに選出されていますが、彼はイギリス議会の国会議員(英語では”MP”とも呼ばれています)にもなろうとしていました。すでにイギリス議会に5回立候補しましたが、残念ながら落選しています。 2009年には、6度目の挑戦となる2010年のイギリス総選挙でイギリス議会の当選に向けて選挙運動を行うため、UKIPの党首を辞退しました。

選挙当日の朝である2010年5月6日、ナイジェル・ファラージは2人乗りの小さな飛行機に搭乗し、飛行機はUKIPのバナー(スローガンなどを掲げた旗のこと)を掲げていました。しかしそのバナーが機体の尾翼に絡まり、飛行機は墜落してしまいます。パイロットとファラージは共に命に別状はありませんでしたが、彼は胸骨と3本の肋骨を骨折し肺には穴があいていました。やがて怪我から回復しましたが、現在もゴルフなどいくつかのスポーツを制限されています。

ナイジェル・ファラージは2010年のイギリス総選挙では議席を獲得することができなかったため、2010年後半にUKIPの党首になるため再び立候補し、見事当選を果たしました。

ファラージが有名になる

イギリス国民の何人かは彼を知っていましたが、ほとんどの人がまだ彼について多くのことを知りませんでした。しかし2010年になるとこの状況が変わりました。ファラージは最近のヨーロッパ議会で、ヘルマン・ファン・ロンパイが欧州理事会議長に任命されたことについての演説を行いました。

彼は直接ロンパイ会議長の目を見ながらこう言いました。

“You have the charisma of a damp rag and the appearance of low grade bank clerk.”
「あなたは濡れ雑巾のような低いカリスマ性と、程度の低い銀行員の容姿を持っていますね」

そしてさらに次のように述べます。

“Who are you? I’d never heard of you, nobody in Europe had ever heard of you.”
「あなたは誰ですか?ヨーロッパでは誰もあなたのことを知りませんでした。」

Link (YouTube)

ファラージの言葉に隠されている動機は、EU内の高い地位にいる人々はヨーロッパ国民にはほとんど知られておらず、EUは反民主主義であるということを強調していました。ファラージは議会での発言により懲戒処分を受けましたが、この演説はYouTubeで非常に人気を集めました。彼はすぐに国民が自身の演説に興味を示し始めていることに気づくこととなります。

ファラージがEU国民投票の要因を生み出す

ファラージはとてもカリスマ性のあった演説を通して、今まで以上にUKIPの知名度を上げました。そして2014年にUKIPは、欧州議会議員選挙で最多数の票を獲得します。1906年以降、労働党や保守党以外の政党が選挙で最多数の票を獲得したのは今回が初めてであり、この結果により保守党はパニックに陥ります。

翌年イギリスは総選挙を行う予定となっており、当時のデイヴィッド・キャメロン首相はUKIPの人気に大きな懸念を抱いていました。彼は保守党が何人かの有権者の支持を失うかもしれない、そして労働党が勝利する原因に繋がるかもしれないと考えました。さらに保守党の政治家の約20~30%が反EUであり、キャメロン首相は2017年までにEU離脱の国民投票を行うことを約束した場合、保守党の分裂を防ぎ、有権者の信頼を勝ち取ることができると信じていました。結果、保守党は過半数で選挙に勝利し、これが多くの人々に衝撃を与えることとなりました。

これらの理由から多くの人々は、ナイジェル・ファラージが保守党に国民投票を強制し大きなプレッシャーを与えたと感じており、最終的に人々は彼には責任があると見ています。

2015年のイギリス総選挙でファラージは、再び議席を獲得することはできませんでした。その後間もなくして落選したため、UKIPの党首を辞任することを発表しましたが、UKIPは大きな利益を上げていたので党は彼の辞任の受入れを拒否しました。その後検討の結果、彼はUKIPの党首であり続けることを決心したのです。

ファラージは2016年の国民投票に向けて選挙活動に力を入れ、大きな成功を収めました。皆さんもすでにご存知のようにこの国民投票で、イギリス国民の過半数以上がEU離脱に投票しています。

https://www.flickr.com/photos/zongo/26917273454

Image via Flickr

国民投票後

国民投票が行われた約2週間後、ナイジェル・ファラージはUKIPの党首から退いたことを発表しました。彼はイギリス議会の議員ではなかったため、政府の政策に影響を与えるためにできることはほぼないと述べたのです。さらに彼はイギリスをEUから離脱させるために25年の歳月をかけてきたこと、そして政治から離れたいと言いました。

2016年の後半、ファラージはドナルド・トランプの政治集会で講演をするよう招待されました。トランプが大統領になる前、ファラージは公でトランプを支援しアメリカで演説を行った唯一の外国人政治家でした。トランプは、ファラージを”Mr. Brexit”として観衆に紹介し、アメリカ国民にとても好印象を与えました。ファラージは選挙に勝利するためには、イギリスのEU離脱側の有権者のように行動すれば勝つことができると観衆に伝えました。このイベントの後、トランプとファラージは良い友人関係となります。

Link (YouTube)

2016年のブレグジットはアメリカの選挙に直接影響を与えたと言う人もいます。イギリスでは多くの国民がEU在留に投票すると思っていたため、衝撃を受けた国民はたくさんいました。その結果、アメリカでトランプを支持していた多くの人々は、彼らが選挙で勝利できそうもないと感じていましたが、ファラージやイギリス人が選挙運動に最善を尽くしている様子に触発されたようです。

ブレグジット党

ファラージは依然として欧州議会でMEPを務めていましたが、LBCラジオ局で放送される政治討論プログラムの司会者にもなりました。

2018年12月にファラージはUKIPから完全に退き、自身でその理由を説明しました。まずファラージはイスラム過激派に反対していますが、UKIPはイスラム教の全てのあらゆる部分に反対し、宗教的な十字軍に向かって進んでいたと感じていました。そしてUKIPが、党の評判を悪くしていた人物を新しいメンバーとして受け入れていると述べています。

2019年当初、ファラージは「The Brexit Party(ブレグジット党)」と呼ばれる新しい政党を設立したことを発表しました。彼はこの政党がブレグジットが起こることを保証するために設立されたことを公表し、またイギリスの政治に革命を起こしたいと述べています。彼は保守党と労働党の強大な勢力を徐々に壊していこうという願望を抱いており、ブレグジット党は2019年5月23日に欧州議会議員選挙に参加する予定です。

なぜ彼を好きな人と嫌いながいるのか。

この記事はとても長く、ナイジェル・ファラージが関与したすべてのイベントをここで挙げることは難しいです。おそらく今までの内容からなぜ彼が好かれ、または嫌われているのかを理解できると思いますが、できるだけ簡単に説明したいと思います。

一部の人々は、彼が通常のイギリス人の大多数を代表していると感じており、彼をとても応援しています。カリスマ性があり優秀な演説者で、質問には率直に答える人物です。また、ビールとたばこが好きで、パブでビール片手に写真を撮られていることがよくあります。そのため多くのイギリス人は、彼は信頼性のある雰囲気を兼ね備えていると感じています。しかし最も重要なのは、彼は多くのイギリス人が抱えている問題について話したいと考えている事です。

ではなぜ多くのイギリス人が彼を嫌うのでしょう?

彼を詐欺師だと言う人が多くいます。彼らによるとファラージは守れない約束をし、質問には正直に答えず、イギリスの問題が起こる度に彼は移民のせいだと非難していると感じています。また彼は反ヨーロッパ人で外国を嫌っており、通常国民の真の代表ではないと考える人もいます。そして一部の人々は彼が権力を手に入れることだけに興味があると感じているようです。

しかし彼に対する世間のイメージは、10年前に比べて良い傾向にあるように見えます。現在ファラージは、テリーザ・メイやジェレミー・コービン(労働党の党首)よりも高い評価を得ています。

興味深い事実

多くの人がナイジェル・ファラージが銀行役員であったと主張していますが、これは事実ではありません。彼は商品取引業者でした。ヨーロッパの歴史に関する専門家でもあり、彼が好きな話題は第一次世界大戦の歴史です。また彼はスポーツのクリケットや賭けが好きです。実際に、ブレグジット党が5月23日に欧州議会議員選挙で最多数の票を得るだろうと1000ポンドの賭けをしています。

最後に

多くのイギリス人はナイジェル・ファラージについて異なる意見を持っていますが、彼が現代史の中で最も多才で有能な政治家の一人であることにほとんどの人が同意しています。また、将来で彼がさらに成長すると信じています。

 

Image Credit:Nigel Farage (46390641752) by Gage Skidmore from Peoria, AZ, United States of America [CC BY-SA 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)]

Nigel Farage of UKIP by Euro Realist Newsletter [CC BY 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by/2.0)]

London June 7 2016 021 ITV EU Referendum Debate Cameron v Farage (2) by David Holt via Flickr

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