この記事では、イギリスにある様々な宗教についてお話ししたいと思います。またどの宗教が最も一般的なのか、そしてイギリス人の宗教に対する考え方についても見ていきたいと思います。
最も一般的な宗教
2011年の国勢調査では以下のような結果が出ています。
キリスト教 | 59.5% |
イスラム教 | 4.4% |
ヒンドゥー教 | 1.3% |
シク教 | 0.7% |
ユダヤ教 | 0.4% |
仏教 | 0.4% |
その他の宗教 | 0.4% |
無宗教 | 25.7% |
無回答 | 7.2% |
合計 | 100% |
上の結果から分かるように、キリスト教はイギリスで最も一般的な宗教ですが、次に多いのは「無宗教」であることにお気づきでしょうか。
イギリスはキリスト教国?
答えはどちらとも言えます。歴史的、また文化的にもイギリスはキリスト教の国です。キリスト教は現在も主要な宗教ではありますが、多くの人はこの宗教を学んだり信じてはいません。
イギリス人の多くが自身はキリスト教徒であると言っていますが、祈りや聖書を読んでいません。そして彼らは(結婚式や洗礼式のためだけには)教会へは行かず、神を信じない人がほとんどです。
ではなぜ習慣のないイギリス人が、自身をキリスト教徒だと認識しているのでしょうか?
それは、ただの伝統にすぎないのです。日本人の多くが自身は仏教であると認識していますが、特に習慣として行っていることがないのと同じようなものです。多くのイギリス人は、宗教は個人的なもので他人に強制されるものではないと感じています。そしてほとんどのイギリス人は、誰もがそれぞれの信念をもって生きることは支持しますが、それについて話すことは好きではありません。
数十年前、キリスト教徒であると特定された人々はとても高い割合を占めていました。実際に2001年に行われた国勢調査では71.6%だったのに対し、2011年は59.5%という結果が出ています。この大きな減少は、無神論者が徐々に増えていることが原因となっています。 50年前、人々は両親と同じ宗教を信仰しなければならないという義務感を強いられていましたが、最近ではその義務がなくなりつつあります。イギリスではほとんどの人が自身はキリスト教徒だと言うかもしれませんが、それほど宗教に対しては熱心ではないのが現状です。
以下は2011年に行われた調査で、自身はキリスト教徒であるという人の割合を地図上で表したものです。
その他の宗教はどうでしょうか?
イギリスではいくつかの宗教が増加し、その他は減少しています。では2001年と比較したイギリスの宗教の割合を表で見てみましょう。
2001 | 2011 | |
キリスト教 | 71.6% | 59.5% |
イスラム教 | 2.7% | 4.4% |
ヒンドゥー教 | 1.0% | 1.3% |
シク教 | 0.6% | 0.7% |
ユダヤ教 | 0.5% | 0.4% |
仏教 | 0.3% | 0.4% |
その他の宗教 | 0.3% | 0.4% |
無宗教 | 23.2% | 25.7% |
無回答 | 無宗教に含まれる | 7.2% |
合計 | 100% | 100% |
これを見ると、ほとんどの宗教がわずかに増加しています。イスラム教に従う人の数は、その他すべての宗教の中で最も増加しているのが分かります。これは近年の人口統計の変化と、イギリスに移住する人の増加が原因だと言われています。
しかし最も大きく増加しているのは、無宗教であると言う人々でした。
将来のイギリスの宗教
ほとんどの研究者が、キリスト教は今後も衰え続けると述べています。そしてイスラム教は引き続き増加し、今後数十年以内にはキリスト教徒を上回り、イギリス最大の宗教となる可能性が見込まれていると考えています。しかし一方では、最も大きな集団は”無宗教”だと予想されています。自然科学はますます信頼されるようになり、多くの若者たちには、宗教と信仰は時代遅れのものだと見られています。
しかし一部では、キリスト教の減少が少し懸念されています。この減少が続くと、イギリスの文化や遺産の一部が失われてしまうのではないかと心配する声も上がっています。また教会に通う人は非常に少なくなっているため、多くの教会が現在閉鎖されています。いくつかの地域では、日曜日になると10~15人ほどが教会に足を運ぶことは珍しくなく、ほとんどが70歳以上の人達のようです。
2021年に行われる次の調査では、これが大きく減少していくかどうかが明らかになるでしょう。
Image Credit: Christianity in the 2011 census by SkateTier [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or CC BY-SA 3.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0)], from Wikimedia Commons