イギリスでは10年ごとに国勢調査を実施しており、1991年以降で人種ごとの人口を記録しています。今日はその最新情報から、イギリスの将来の人口統計について見ていきたいと思います。また、いつ白人のイギリス人がイギリス人口の中で少数になっていくのかについても見ていきたいと思います。
最新情報
最後に行われた国勢調査は2011年です。国勢調査の人種は様々な種類に分けられます。(以下)
英語 |
日本語 |
White or White British |
イギリス人の白人とそれ以外の白人 |
White: Irish Traveller |
白人アイリッシュトラベラー |
Asian or Asian British |
アジア系/アジア系イギリス人 |
Black or Black British |
黒人/黒人のイギリス人 |
British Mixed |
多人種イギリス人 |
Other |
その他 |
アジア人を分類するには非常に複雑で、単に中国人や日本人のことを指すのだろうと思われがちですが、実はそんなに単純ではありません。
「アジア人」と言っても非常に多様であり、インド、パキスタン、バングラデシュ、中国、そして‟その他アジア人”が含まれています。日本の民族性を持つ人々は「その他のアジア人」に分類されます。実際にイギリスでは、”British Asian”という言葉を聞く時、ほとんどの人がパキスタン民族のことを思い浮かべます。
また他にも、ポーランドやルーマニアなどの多くのヨーロッパ諸国の人がイギリスに住んでいるということも考えられます。おそらく国勢調査で彼らは‟イギリス人の白人とそれ以外の白人”または‟その他”の分類にあてはまるでしょう。
様々な分類の定義を理解したところで2011年の国勢調査の結果を見ていきたいと思います。
人種 |
人口の割合 |
人口の数 |
イギリス人の白人とそれ以外の白人 |
87.17% |
55,073,552 |
白人アイリッシュトラベラー |
0.10% |
63,193 |
アジア系/アジア系イギリス人 |
6.92% |
4,373,339(全てのアジア人) |
インド系 |
2.30% |
1,451,862 |
パキスタン系 |
1.86% |
1,174,983 |
バングラディッシュ系 |
0.71% |
451,529 |
中国系 |
0.69% |
433,150 |
他のアジア系 |
1.36% |
861,815 |
黒人/黒人のイギリス人 |
3.01% |
1,904,684 |
多人種イギリス人 |
1.98% |
1,250,229 |
その他の人種 |
0.92% |
580,374 |
合計 |
100.00% |
63,182,178 |
その他にも、イングランドとウェールズで日本人の民族性(日系とイギリスに住む日本人など)を持つ人は35,043人、スコットランドでは1,273人、北アイルランドでは90人ということが分かっています。
人口動向
イギリスの人口統計はどのように変化しているのでしょう?
それは大きく変化しています。そのデータを2001年の国勢調査と比較してみましょう。
人種 |
人口の割合 |
人口の数 |
2011年までの増加率 |
白人のイギリス人 |
85.67% |
50,366,497 |
+1.8% (イギリス人の以外の白人とアイルランド系白人を含む) |
イギリス人の以外の白人 |
5.27% |
3,096,169 |
– |
アイルランド系白人 |
1.2% |
691,232 |
– |
アジア系 / アジア系イギリス人 |
4.39% |
2,578,826 (全てのアジア人) |
+69.58% |
インド系 |
1.79% |
1,053,411 |
+37.82% |
パキスタン系 |
1.27% |
747,285 |
+57.09% |
バングラディッシュ系 |
0.48% |
283,063 |
+59.51% |
中国系 |
0.42% |
247,403 |
+75.08% |
他のアジア系 |
0.42% |
247,664 |
+ 247.98% |
黒人 / 黒人のイギリス人 |
1.95% |
1,148,738 |
+ 65.80% |
多人種イギリス人 |
1.15% |
677,117 |
+86.84% |
その他の人種 |
0.39% |
230,615 |
– |
合計 |
100.00% |
58,789,194 |
+7.47% |
このデータから、白人のイギリス人を除くすべての人種の割合が大幅に増加していることがわかります。
ではなぜ白人のイギリス人がわずかにしか増加していないのでしょうか?
主な原因は2つあります。まず一つは、パキスタンやインドなどからの移民は非白人人種の増加に関係しています。‟入国水準”はイギリス人にとって深刻な問題となっています。イギリスへの移民の水準と、それがイギリス人に大きな懸念をもたらした要因について詳しく知りたい方は、こちらからご覧いただけます。
そしてもう一つの要因に‟出生率”が挙げられ、これが主な要因となっています。
2014年ではイギリス人の出生率に関するデータがまとめられており、母親がイギリス出身である場合の出生率は1.76人という結果が出ています。これは人口置換水準2.00人を下回っていることが分かります。多くの先進国では少子化が問題となっており、日本、ドイツ、イタリアなどでも同じことが起きています。
しかし母親が外国生まれである場合の出生率はなんと2.09人というデータが出ています。簡単に言えば白人のイギリス人家族には十分な人数の子供がいないことになります。また、パキスタン系や他の少数民族の家族に複数の子供がいることはよく聞く話であり、女性が6人の子供を持つということは珍しいことではないのです。これは少数民族の人々が多くの子供を産むことにより、国の人口統計が変化していることを意味しています。
イギリスの将来の人口統計
上記の理由により、多くの科学者がイギリスの人口統計は不可逆的に変化し続けると言っています。
1991年には94.1%が白人であると特定されましたが、2001年には90.94%、そして2011年には87.17%までに減少しています。これには白人以外のイギリスの人々が含まれているため、彼らだけの割合を正確に言うことは難しいのです。しかし、イギリス政府は2011年の国勢調査に関する情報を公開しました。政府の調査によると(リンクはこちら)イギリス人の白人は2001年のイングランドとウェールズの人口の87.4%を占め、2011年には80.5%を占めていました。
またロンドンは最も大きな変化を表しています。白人のイギリス人の割合は2001年では59.79%、 2011年には44.89%という結果が出ており、これは現在イギリスの人々が首都では少数派であることを意味しています。この人口動向はイギリスの他の主要都市でも起こっています。ルートンやスラウのような都市では、白人のイギリスの人口はすでに少数です。 2011年の国勢調査でスラウにいる白人のイギリス人は全体の34.53%、ルートンでは44.55%となっています。またバーミンガムでは53.14%、レスターでは45.06%と他の主要都市でもこのような統計が出ており、今後数年間の間で白人の人口統計は少数になることが考えられています。
オックスフォード大学のある教授は、この傾向が続けばイギリスにいる白人のイギリス人は2066年までの間に少数人種になると言っています(リンクはこちら)。多くの人々は、イギリスの人口統計の変化が国民に大きな不安を引き起こす可能性があるため、イギリスの将来について懸念しています。2021年に行われる次の国勢調査では、イギリスの人種の人口統計がどのように変化しているのかを心待ちにしている国民は数多くいます。
白人のイギリス人の割合は約70~75%までになるのではないかと信じている人もいます。
しかしながら、白人のイギリス人は2066年よりもっと早く少数派になると信じる人も多くいます。実際に、それは2040年頃までには起こるであろうと考えられています。
なぜなら2020年代後半までには、0歳から16歳までの人口の中で白人のイギリス人は50%未満になることをいくつかの統計が表しています。さらに多くの調査では、2030年代半ばから後半までに35歳未満の人口の中で白人のイギリス人は50%未満になるであろうと言われています。これは、その時のイギリス人口の50%以上が白人のイギリス人ではあるが、その平均年齢が高齢者になるということを意味しており、大多数が50、60代以上の世代なのです。 そして若い世代の白人のイギリス人は、50歳未満の中でもかなり低い割合を占めることとなり、この傾向が続けば2095年までには16歳未満の人口の中で白人のイギリス人はたった3%になることが予想されます。
しかしこの状況は多くのイギリス人を非常に不安にさせるものであり、イギリス政府はこれらの結果を記録せず、故意に省略することによって2021年の国勢調査における民族性に関するデータを隠ぺいするのではないかと感じています。また、白人のイギリス人の減少が急降下していることを公にしないよう政府が実際のデータを変更するであろうと言う人もいます。