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スコットランド独立問題

なぜスコットランドはUK独立を希望するのか?

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a5/Scottish_and_British_flags.jpg

時々、スコットランドがUK独立を希望しているというニュースを耳にします。2014年にスコットランドで独立国民投票が行われ、UK在留に投票した国民は55%、離脱は45%という結果が出ましたが、今でもこの問題は続いています。今日はこの歴史について説明すると共に、今現在起こっている問題についてもお話したいと思います。

まず、近年UKでは主な2つの国民投票(2014年のスコットランド独立国民投票と、2016年のEU独立国民投票)を行っており、とても紛らわしくなっていると思います。そのためイギリスでは、スコットランド独立国民投票のことを”INDYREF”、そしてEU独立国民投票のことを”EUREF”と言います。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/96/Scottish_Independence_Referendum_Results.png

2014年の投票結果

今日はこの2つの言葉を使って説明していきたいと思います。

また、通常「United Kingdom」は日本語で「イギリス」と表現していますが、今日は説明を分かりやすくするために「UK」とだけ表現します。

スコットランドはいつ、そしてなぜUKに加わったのか?

UKはスコットランドのおかげで存在していると言っても過言ではありません。

イングランドは13世紀後半にウェールズを征服しました。これはウェールズがイングランドの公国となり、その支配下にあったことを意味していました。しかしイングランドはスコットランドを征服することはできませんでした。スコットランドの歴代の王達もイングランド北部の征服を試みましたが、何度か不成功に終わっています。これはスコットランドとイングランドの間で何百年もの間に渡り、膠着状態が続いていたことを意味しています。

1603年、イングランドの女王エリザベス1世が亡くなりました。彼女には子供がいなく、兄弟姉妹もいませんでした。生存している最も近い親戚はスコットランドの王であるジェームズ6世でした。そのため彼はイングランドの王にもなったのです。これは「Union of the Crowns」として知られており、ジェームズ6世も「James I of England and Ireland」という別の称号を手に入れました。彼は自分の国を完全に統一したいと述べましたが、この考え方はイングランドとスコットランドの議会では不評でした。スコットランドとイングランドは同じ王でしたが、政治はそれぞれの国で留まり、別々のままでした。

James VI & I

しかし100年後、スコットランドとイングランドの間で政治組織の結合をするという考えがより一般的になりました。これはスコットランドとイングランドが経済的に依存し合うようになったことが原因と言われています。そのため、1707年までにイングランド議会とスコットランド議会は、「Treaty of Union」と呼ばれる新たな条約に合意しました。この条約はイングランド(ウェールズを含む)とスコットランドが政治的に統一されることを意味するものであり、これが「the United Kingdom」の創設の始まりとなるのです。

The United Kingdomの構成は、1800年に「Act of Union(合同法)」を交わして完結しました。これは「Great Britain」と「Ireland」の合併を意味しています。

そして1707年以来、スコットランドはUKの一部となったのです。

なぜUKから独立したいと考える人がいるのでしょうか?

この答えは非常に複雑です。

まず第一に、多くのスコットランド人は自身がイギリス人(British)であると認識していません。彼らは、スコットランド人でありイギリス人(British)ではないと主張します。スコットランドの同一性を持つ人にとってこれは最も重要であり、UKの一部に自身の同一性が奪われてしまうと感じているのです。

また、多くのスコットランド人は政治制度を好みません。 1999年以来、スコットランドは権限委譲により独自の議会を持ちました。これはスコットランドの議会が税率、健康、教育などすべての事項において決定権があることを意味しています。イングランドの政治家はスコットランドの政策に対して投票する権利がありません。

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スコットランド議会

しかしスコットランドは外交政策、入国、防衛を判断することができません。これらはロンドンのウェストミンスターにあるイギリス政府によって取り決められます。このような問題に投票できるスコットランドの政治家もウェストミンスター議会には何人かいます。またイングランド、ウェールズ、北アイルランドの政治家達もUKの問題に投票する権利を持っています。

多くのスコットランドの人々は、スコットランド議会がすべての権利に対して決定権を持つことを望んでいます。

しかし結局のところ、UKの一部である限りは彼らは自分の国の未来には選択肢がないと考えているのです。

スコットランドの人々全員が同じ気持ちですか?

スコットランドの人々の多くはUKからの独立に反対しています。彼らはスコットランド人とイギリス人(British)の両方でいるということは可能だと考えています。またUKの一部であるということがスコットランドにとっては非常に重要であり、多くの利益を得ることができると感じています。スコットランドはイギリス政府から多くの公的資金を受けています。UKではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの国民がイギリス政府に税金を支払っています。その後、UK政府によって公的資金として各国に配分されます。様々な調査によるとスコットランドでは、イングランドとウェールズに比べて一人当たりの受け取る金額が多いことが分かっています。もしスコットランドがUKから離脱すれば、多くのイギリス政府からの援助も失うことになるのです。

ロンドンにあるウェストミンスター議会

さらに、何人かのスコットランド人はスコットランドが以前よりも権限委譲を得ていると感じており、実際にスコットランドの政治力は過去に比べて強くなっています。

SNP

スコットランドの独立の主な原動力は「Scottish National Party(スコットランド国民党)」です。このSNPは1934年に設けられ、スコットランド議会の主要政党となりました。SNPはスコットランドが独立国になるよう、2014年には選挙運動に非常に力を入れていました。またSNPは、UKから独立してEUに加わることを望んでいます。これはスコットランドがEUの加盟国になれば独立国ではなくなるので、独立を望んでいるスコットランドの人々にとって混乱を招いているのです。

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2015年イギリス(スコットランド)総選挙の結果  黄色:SNP 青色:保守党 オレンジ色:自由民主党 赤色:労働党

しかし、SNPには大きな問題があります。2014年に行なわれたINDYREFでは、スコットランド人の55%は在留、45%は独立に投票しました。この投票以来、SNPは国民の支持を失ってきています。

これはなぜか?SNPが2014年の国民投票は一生に一度のことであり、国民が在留を決めた場合、彼らはその決断を尊重すると述べたにもかかわらずSNPは現在、2度目の国民投票を行うことを考えているからです。

なぜSNPは2度目の国民投票を望んでいるのですか?

イギリス政府は2014年のINDYREFにおいて、スコットランドがUKを離脱する場合、EUからも離脱する必要があると述べました。SNPの見解では、スコットランド人の多くはEU離脱を望んでいなかったため、2014年でUK在留に投票すると主張しました。その後の2016年、UKはEU離脱を決断しましたが、大多数のスコットランド人はこのEUREFでEU在留に投票していました。これが大きな問題を引き起こす引き金となりました。

2017年イギリス(スコットランド)総選挙の結果  黄色:SNP 青色:保守党 オレンジ色:自由民主党 赤色:労働党

SNPによると、スコットランドの人々はEUに在留するためにはUK在留に投票しなければならないと感じていました。しかし現在のUKはEU離脱が決定していたので、スコットランド人にとって不公平なことになっています。これが原因となりSNPが、スコットランドの人々は別のINDYREFの許可を得るべきだと主張し、これは‟INDYREF2”とも呼ばれています。

しかしINDYREFが行われていた間、スコットランドの人々は、UKがEUを離脱または在留するかの国民投票を行うことを知っていました。たとえUKが在留する方に投票したとしても、UKはEUに在留するという保証がありませんでした。また多くの人々は2016年のEUREFがUK全体の人口の過半数を得たため、INDYREFをもう一度行うことは非民主的であると述べています。スコットランドはUKに在留し、UKはEUを離脱することに決めました。もしUKの中の1つの国が在留に投票した場合でもEU離脱という結果は変わりません。

現在スコットランドの人々はどう感じていますか?

簡単に言えば、ほとんどのスコットランド人は国民投票にはもう懲り懲りだと感じています。よって多くの人が、もう一度INDYREFを行うことを望んでいません。

最新の調査による結果は以下の通りです。

50%→スコットランドがUKから独立するべきではないと考えている。
37%→スコットランドをUKから独立させたいと考えている。
10%→不明
4%→投票拒否

また別の調査では、

47%→UKがEUを離脱後は、国民投票を行うことは望んでいないと答えた。
36%→UKがEUを離脱後、もう一度INDYREFを行うことを希望している。
17%→不明

SNPは2017年の総選挙で、スコットランドの有権者から多くの支持を失いました。これはスコットランド人がスコットランドの独立に焦点を当てず、スコットランドの統治に焦点を当てるためでした。 SNPはここ数年の間でスコットランドを統治してきましたがその実績は悪く、SNPがスコットランドを独立国として完璧に支配するならば、非常に良くないと感じている人がいます。

しかし、独立に対する気持ちを非常に強く持っているスコットランド人もいることは事実であり、この問題には決して目を背けることはできないのです。将来的にINDYREFがもう一度行われることは間違いありませんが、今後10年以内に起こる可能性は低いでしょう。

 

 

Image Credit:Scottish and British flags by The Laird of Oldham [CC BY-SA 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)], via Wikimedia Commons

Scottish Independence Referendum Results by Adam Black AMBCS (Own work) [CC BY 4.0 (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0)], via Wikimedia Commons

Debating chamber, Scottish Parliament by User:pschemp (Own work) [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html), CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/) or CC BY-SA 2.5-2.0-1.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.5-2.0-1.0)], via Wikimedia Commons

United Kingdom general election 2015 (Scotland) by Italay90 (Own work) [CC BY-SA 4.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0)], via Wikimedia Commons

 

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